2005年の厚労省・歯科疾患実態調査によれば、日本人の約8割が歯周病にかかっており、その中で45歳以上では約4割の方が中程度から重度の歯周病といった結果がでております。年齢が上がるにつれその割合は増え、75歳では約6割の方が中程度から重度の歯周病にかかっています。
歯周病は細菌による感染症です。
歯周病は、歯の周囲の汚れのなかに含まれる細菌の毒素の影響で、歯ぐきに炎症が起きて、腫れたり、出血しやすくなり、また、歯を支える骨が溶けていき、歯がグラグラしたり、抜けたりする病気です。お口の中には多かれ少なかれ細菌は必ずいて、全くいないという人は存在しません。普段は細菌と自分の防御機構がバランスを保っていて歯周病は進行しませんが、歯みがきがうまくできていない事で細菌が多くなっている場合や、細菌の量自体に変わりはなくても、体が弱っていたり、疲れていたりすると歯周病は発症、進行します。
初期の段階ではほとんど自覚症状はないか、あったとしてもほおっておくと自然に治ってしまう(実際には進行した状態での停止)ので気に留めません。自覚症状がはっきりしてくるとそれはすでに歯周病がだいぶ進行している証拠です。
次のような症状があったら、歯周病の可能性があります。
セルフチェックをしてみましょう。
□ 朝起きたときに、口の中がネバネバする。
□ 歯みがきのときに出血する。
□ 硬いものが噛みにくい。
□ 口臭が気になる。
□ 歯肉がときどき腫れる。
□ 歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた。
□ 歯がグラグラする。
また、次のような方には、歯周病が起こりやすいことが知られています。
□ 45歳以上の方
□ 喫煙者
□ 妊娠中
□ 糖尿病にかかっている方
□ 歯みがきの悪い方
これらにあてはまる方は、歯周病のリスクが高いといわれています。
歯周病は感染症ですから、歯周病菌をやっつける必要がありますが、お口の中なので、それほど強い薬を使う事も出来ません。基本的には歯周病菌は歯の周囲の汚れの中にいますので、それを機械的に取り除く必要があります。じゃあ歯ブラシでゴシゴシすれば汚れを落とせるかというと、ある程度汚れがたまった状態だと、固くて汚れを落とせません。治療の流れをみてみましょう。
【1】まず現在の状態を把握する為に、レントゲンや歯周病の検査を行います。
【2】検査結果を説明しながら、現在の状態と治療のゴールを共有します。
【3】歯ブラシでは落とせない汚れをこちらできれいに落としていきます。
【4】磨き方や、歯ブラシの種類、歯磨き粉等々毎日の手入れの仕方を説明します。
(一ヶ月のうち、ほとんどが自分で磨くわけですから、医院に頼りっきりでもいけません)
【5】時には麻酔をしてでも奥の汚れを落とす必要があります。
【6】ある程度汚れがなくなって、症状が落ち着いたら、以降は継続的に来院をしていただいて、自分では落としきれなかったたまった汚れをこちらで落とします。
残念ながら歯周病はほおっておいて完治する事はありません。
一度歯周病が発症して進行すると、歯を支えている骨がやせていきますが、これが元に戻る事はありません。どこかで歯周病がそれ以上進行しないように、また進行していったとしても最小限に抑えておく必要があります。その為に定期来院の必要性がでてきます。
歯周病の状態に合わせて、月に一回から、一年に一回来院していただきます。
歯周病には残念ながら完治したからもう通わなくて良いというのはありません。一度治まったとしても、また時間が経てば汚れがたまっていき、同じ事になります。なかなか自分一人で100%磨くのはできません。
特に一度歯周病にかかってしまうと、歯の根っこがでてきたり、スキマが多くなったり、物が挟まりやすくなったりと磨きにくい環境は残ります。なので状態に合わせて、何ヶ月おきに汚れを落としにきた方が良いか説明します。
また、何年も放置して、汚れがどっさりたまった状態だと、汚れを取るのに時間もかかりますし、奥の汚れを取らなければいけないので痛みも出やすく、患者さんも大変です。その点、定期的に来院していただければ、汚れもさらさらっと落ちますし、時間もかからず患者さんも楽です。定期的な来院を強くおすすめいたします。
また歯周病の治療は歯科医師や、歯科衛生士がどんなに治そうとがんばっても、患者さんが治そう、治したいという気持ちがないとうまくいきません。二人三脚でがんばって克服しましょう。
当医院では4名の歯科衛生士が在籍しております。歯科衛生士は歯周病予防、歯周病治療の専門家です。毎日多くの患者さんのお口の中を診て、歯周病と格闘しています。歯周病の急性期は主に歯科医師が治療を行い、ある程度落ち着いたら、そこからは歯科衛生士の仕事です。
患者さんの一人一人とよく向き合い、お口の中の状況、生活スタイルに合わせた最適な清掃方法をお伝えしますので是非お気軽にご相談下さい。
歯ブラシはたくさん種類がありすぎて、今イチどれがいいのかわかりづらいと思います。当医院では歯科衛生士により、お口の中の状況、患者さんの生活に合わせ、最適な歯ブラシを紹介致します。
一般的に糸ようじといわれる清掃用具ですが、歯と歯の間の掃除にはこれが一番です。歯周病が進行してスキマが多くなってくれば、糸ようじに変えて、歯間ブラシを使いましょう。